【コラム】民事裁判の流れをわかりやすく解説|第5回:裁判の終わり方
第1回から読む方はこちら:第1回 裁判の始まりと全体の手続き
和解と判決の違いをわかりやすく解説
裁判が進むと、裁判官から「和解で解決できませんか」と提案されることがあります。一方、和解に至らなければ、裁判所が判決を言い渡して事件を終えることもあります。
ここでは、民事裁判の代表的な終わり方である「和解」と「判決」について、違いや注意点を解説します。
目次
1 裁判の代表的な終わり方は「和解」と「判決」
和解
和解とは、当事者が話し合い、互いに納得できる条件で紛争を解決する方法です。裁判の途中で和解が成立すると、その内容を記載した「和解調書」が作成されます。
裁判上の和解を記載した和解調書には、確定判決と同一の効力が認められます(民事訴訟法267条)。相手方が和解で定められた金銭の支払義務を履行しない場合には、条件を満たせば強制執行を検討できます。
判決
判決とは、裁判所が当事者の主張や証拠に基づいて、請求を認めるかどうかを判断し、結論を示すものです。
例えば、金銭の支払いを求める訴訟で原告の請求が認められた場合、被告に支払いを命じる判決が言い渡されます。請求が認められなければ、請求棄却の判決となります。
なお、民事訴訟は和解・判決以外にも、訴えの取下げなどによって終了する場合があります。
2 和解のメリットとタイミング
和解のメリット
- 解決までの時間や費用を抑えられる場合がある:判決まで審理を続ける必要がなくなることがあります。
- 柔軟な条件を定められる:支払時期・分割払い・今後の対応など、双方が合意した内容を調整できます。
- 紛争の長期化を避けられる場合がある:当事者間で合意することで、対立を早期に収束できることがあります。
ただし、和解では一定の譲歩が必要になることもあります。合意する前に、金額や支払期限、約束が守られなかった場合の対応まで確認することが大切です。
和解を検討するタイミング
和解は裁判の途中でも成立します。争点や証拠がある程度整理された段階などで、裁判官から和解を提案されることもあります。
提案を受けた場合には、すぐに結論を出す必要があるかを確認し、条件の妥当性や判決になった場合の見通しについて弁護士と相談しましょう。

3 判決の時期・内容と効力
判決が言い渡されるまでの期間
審理が終結してから判決が言い渡されるまでの期間は、事件の内容や裁判所の状況によって異なります。数週間から数か月程度を要することもあります。具体的な予定は、担当弁護士に確認しましょう。
判決の内容と効力
判決では、請求が全部認められることも、一部だけ認められることも、認められないこともあります。
例えば、原告が100万円の支払いを求めた場合、裁判所が100万円全額の支払いを命じることも、50万円だけ認めることも、請求を棄却することもあります。
支払いを命じる判決が出ても、判決によって自動的にお金が振り込まれるわけではありません。また、判決が言い渡された時点で、必ずしも確定しているわけではありません。
4 控訴と強制執行
控訴
第一審の判決に不服がある場合には、控訴を検討できます。通常の民事訴訟では、控訴は判決書の送達を受けた日から2週間以内に行う必要があります(民事訴訟法285条)。
控訴期間は法律で定められた期間です。判決書を受け取ったら、速やかに担当弁護士へ相談しましょう。
強制執行
金銭の支払いを命じる判決が確定したにもかかわらず、相手が任意に支払わない場合は、預貯金や給与などに対する強制執行を検討します。
なお、仮執行宣言が付された判決では、判決確定前でも強制執行が可能な場合があります。また、一定の要件を満たす和解調書も強制執行の根拠になります。
強制執行の具体的な流れは、第6回「判決後の流れと強制執行の手続き」で解説しています。

5 和解と判決、どちらを選ぶべきか
和解と判決には、それぞれ利点と注意点があります。
- 和解を検討しやすい場合:早期解決を希望し、支払方法なども含めて柔軟な合意を目指したい場合。
- 判決による解決を検討する場合:争いのある事実や法律上の問題について、裁判所の判断を求めたい場合。
もっとも、和解が適しているか、判決まで進めるべきかは、証拠の状況、相手方の対応、見込まれる回収額や負担などによって異なります。弁護士と十分に相談したうえで判断することが重要です。
まとめ
民事裁判の終わり方には、当事者が合意する「和解」と、裁判所が結論を示す「判決」があります。どちらにも特徴があり、事件によって適切な解決方法は異なります。
- 和解では、合意内容や履行方法を十分に確認する
- 判決に不服がある場合は、控訴期間に注意する
- 判決や和解の内容が守られない場合は、強制執行を検討する
裁判の結果は、その後の生活や取引にも影響します。解決条件や手続の意味を理解し、納得できる解決を目指しましょう。
民事裁判シリーズの記事一覧
- 第1回 裁判の始まりと全体の手続き
- 第2回 相手を訴えたいときの手続きと費用
- 第3回 裁判所から訴状が届いたら
- 第4回 第1回口頭弁論期日とは?
- 第5回 裁判の終わり方(この記事)
- 第6回 判決後の流れと強制執行の手続き

