【コラム】民事裁判の流れをわかりやすく解説|第4回:第1回口頭弁論期日とは?

※このコラムは、民事裁判の流れシリーズの第4回です。
第1回から読む方はこちら→ 第1回 裁判の始まりと全体の手続き

第1回口頭弁論期日とは? 当日の流れと欠席時の注意点

裁判所から「第1回口頭弁論期日」の呼出しが届くと、「何を話すのか」「欠席したらどうなるのか」「弁護士に依頼していれば自分も行く必要があるのか」と不安になる方もいるでしょう。
第1回口頭弁論期日は、原告と被告の主張を法廷で扱い、今後の審理を進めていくための重要な機会です。
この記事では、当日の基本的な流れと、特に誤解されやすい「答弁書を提出した場合の欠席」について解説します。

目次

1 第1回口頭弁論期日とは?

第1回口頭弁論期日とは、民事訴訟で最初に開かれる口頭弁論の期日です。
公開の法廷で裁判官が訴状・答弁書などに基づく主張を確認し、その後の審理の進め方を検討します。
「口頭弁論」という名称から、長時間の討論を想像するかもしれませんが、最初の期日は短時間で終わる事件もあります。ただし、事件の内容や進行状況により異なります。

2 当日はどのように進む?

一般的には、次のような事項が扱われます。

  • 原告・被告または代理人の出席状況を確認する
  • 訴状・答弁書などに記載された主張を口頭弁論において扱う
  • 請求を認めるか争うかなど、当事者の立場を確認する
  • 必要に応じて、次回の期日や書面提出期限を調整する

すでに訴状や答弁書が提出されていれば、裁判官が書面の内容を踏まえて進行するため、当事者がその場で一から事情を説明するとは限りません。
ただし、裁判官から質問や確認を求められる場合もあります。

3 答弁書を提出すれば欠席できる?

被告が答弁書を提出している場合、第1回口頭弁論期日に欠席しても、裁判所が答弁書の内容を陳述したものとみなして審理を進めることがあります。
この仕組みを「陳述擬制」といいます(民事訴訟法158条)。
同条は、原告または被告が最初にすべき口頭弁論期日に出頭しない場合などに、裁判所が提出済みの訴状・答弁書等の記載事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる旨を定めています。

第1回口頭弁論期日に被告が欠席し、裁判官が答弁書を陳述したものとみなして審理を進めるイラスト

答弁書を出せば、必ず大丈夫というわけではありません

  • 陳述擬制は、裁判所が判断する制度であり、答弁書を提出しただけで当然に認められるとは限りません。
  • 答弁書に相手方の主張を争う意思が適切に示されていないと、不利益を受けるおそれがあります。
  • 第2回以降の期日では、第1回期日と同じ取扱いを前提にできません。

また、答弁書を提出せずに欠席した場合には、相手方の主張した事実を争わないものとして扱われ、不利な判決が出る可能性があります(民事訴訟法159条)。もっとも、欠席しただけで必ず相手方が勝訴するわけではなく、請求の法的根拠なども審理の対象になります。
欠席を考えている場合は、答弁書の内容と提出期限を確認したうえで、事前に裁判所または依頼している弁護士に相談してください。

4 出席するときの服装と持ち物

裁判所へ行く際、特別な服装が法律で義務付けられているわけではありません。清潔感のある落ち着いた服装を選ぶとよいでしょう。
持ち物の例は次のとおりです。

  • 裁判所から届いた期日呼出状など
  • 訴状・答弁書・準備書面などの控え
  • 裁判所から持参を求められた資料
  • メモ帳・筆記用具
  • 必要に応じて本人確認書類

呼出状や裁判所からの連絡で、日時・場所・参加方法を確認してください。初めて出向く場合は時間に余裕を持つと安心です。

5 裁判官とのやり取り

口頭弁論では、裁判官が審理を進行します。例えば、次のようなやり取りが考えられます。

  • 裁判官:「被告は、原告の請求を争うということでよろしいですか」
  • 被告または代理人:「はい、争います」
  • 裁判官:「次回までに、争う理由を記載した書面を提出してください」

これはあくまで一例で、実際の質問や進行は事件によって異なります。分からないことがあれば、その場で確認することも大切です。

6 弁護士が代理人の場合

弁護士を訴訟代理人として依頼している場合、通常の期日は代理人が対応することが多く、本人が毎回出席するとは限りません。
ただし、本人尋問が行われるときや、裁判所から本人の出席を求められたときなどは、出席が必要になる場合があります。出席の要否は担当弁護士と確認しましょう。

7 第1回期日後の流れ

第1回口頭弁論期日が終わった後は、事件の状況に応じて審理が進みます。

  • 次回の口頭弁論期日が指定される
  • 弁論準備手続などで争点・証拠を整理する
  • 必要な書面や証拠を追加提出する
  • 和解について検討する
  • 必要に応じて証人尋問や当事者尋問を行う

必ず弁論準備手続に移るわけではありません。また、事件によっては第1回期日の段階で和解が検討されたり、弁論が終結したりすることもあります。

8 オンライン手続と注意点

2026年5月21日に施行された改正民事訴訟法により、民事訴訟では書面のオンライン提出や、一定の条件のもとでのウェブ会議による手続参加など、デジタル化された方法が利用できるようになりました。
ただし、「手続がデジタル化された」ことと「すべての当事者が自宅から自由に第1回期日に参加できる」ことは同じではありません。ウェブ会議で参加できるかどうかは、裁判所の判断や指定された参加方法によります。
裁判所から届いた通知や担当裁判所の案内に従ってください。
裁判所|改正民訴法等で変わる民事訴訟手続の概要

まとめ

第1回口頭弁論期日は、民事裁判の主張やその後の審理の進め方を確認する大切な機会です。
特に被告側は、答弁書の提出と期日の出席は別の問題であることに注意が必要です。第1回期日には陳述擬制という仕組みがありますが、答弁書を出せばどのような場合も欠席してよいという意味ではありません。
不明な点がある場合は、早めに裁判所や弁護士へ相談しましょう。

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