1. 建築紛争(建物の瑕疵が問題となる場合)

(1) 絶対的瑕疵

住宅本来の性能を欠いていることが明らかな、簡単に言えば居住にたえないほどの明白な瑕疵のある物件。現象の原因解明と、修補方法を確定して、業者と交渉していくことになります。

(2) 相対的瑕疵

傷がついた、仕上げが雑、傾いているなど、一応住居として使えるが瑕疵がある場合、それが、許容範囲(受任限度の範囲)であるかどうか、判断はとても難しいものとなります。業者との交渉が仮に決裂した場合には、裁判となりますが、請求を認めた判例があるのか、あるとしていくらぐらいまでの補修なり損害なりを認めたのか、綿密な判例の調査が必要になります。

(3) 法律的瑕疵

容積率など法令に違反している場合に。この場合には、法規の解釈が問題となります。

(4) 契約上の瑕疵

契約した通りに建築されていない場合に問題となります。往々にして、言った言わないの問題となるので、証拠として契約書、見積書、打ち合わせの際のメモ等が重要となります。また、早期に時効消滅しますので、ご注意ください。

2. 建物明渡訴訟について

建物明渡訴訟は、明渡を請求する側と(大家さんや地主さん)、立ち退きを要求される側(賃借人の方)が往々にして近くに住んでいるなどで、非常に人的な関係が悪化しているケースが多く、和解成立まで時間を要します。また、賃借人はそこを生活の居所として利用していることがほとんどですから、立ち退きについて勝訴判決を得るだけでは、直ちにその不動産の占有を取り返すことはできません。終局的な解決まで視野に入れたうえで、正しい手法を選択することが、紛争解決のポイントです。