【コラム】民事裁判の流れをわかりやすく解説|第1回 裁判の始まりと全体の手続き

民事裁判とは? 裁判の始まりから解決まで

民事裁判(民事訴訟)は、貸金の返還、契約上のトラブル、不動産の明渡しなど、私人間の権利や義務に関する争いを裁判所で解決する手続です。

「相手を訴えたい」「裁判所から訴状が届いた」という方に向けて、裁判の基本的な流れと、2026年5月21日から変わった手続をご案内します。

目次

1 民事裁判で扱うトラブル

  • 貸したお金が返ってこない、代金や家賃が支払われない
  • 契約の履行や解除をめぐって争いがある
  • 建物の明渡しや損害賠償を求めたい
  • 相手から請求されている内容に納得できない

民事訴訟で「被告」と呼ばれても、犯罪の被告人という意味ではありません。原告と被告の双方が、法律上の主張と証拠を示して争点を明らかにしていきます。

女性弁護士が相談者に訴状の内容を説明するイラスト

2 民事裁判はどのように進む?

一般的には、次のような流れで進みます。

  1. 訴えの提起:原告が訴状を裁判所に提出します。
  2. 訴状の送達:裁判所から被告に訴状などが送達されます。
  3. 答弁書の提出:被告が請求に対する認否や反論を示します。
  4. 口頭弁論・争点整理:裁判所で主張や証拠を整理します。
  5. 証拠調べ:必要に応じて証人尋問などが行われます。
  6. 和解または判決:話合いによる解決や、裁判所の判断によって終了します。

事件によっては争点整理や証拠調べの進め方が異なり、訴訟途中で和解することもあります。すべての事件が同じ順番・回数で進むわけではありません。

3 2026年5月21日から民事訴訟の手続が変わりました

2026年5月21日施行の改正民事訴訟法等により、新たに提起される民事訴訟では、裁判書類の電子提出や電子送達などの仕組みが本格的に導入されました。

弁護士等のオンライン提出と本人による書面・オンライン提出を比較したイラスト

弁護士等の訴訟代理人はオンライン提出が原則として義務

新法が適用される事件では、本人が自分で訴訟を行う場合、紙の訴状による申立ても可能です。一方、弁護士等の訴訟代理人は、裁判所のシステムを利用したオンライン提出が義務付けられています。

オンライン提出には、裁判所の民事裁判書類電子提出システム「mints(ミンツ)」等を利用します。利用するシステムや手順は裁判所の案内をご確認ください。

裁判書類の電子送達も可能に

裁判書類は、一定の手続により、裁判所のシステム上で閲覧・ダウンロードする形で送達を受けられるようになりました。電子送達の届出をした場合などには、書類が利用可能になった旨が通知され、閲覧・ダウンロードまたは法定期間の経過によって送達の効力が生じます。

ただし、すべての人に必ず電子送達が行われるわけではありません。利用方法や届出の状況により、紙の書面で送達される場合もあります。

2026年5月20日以前に提起された事件との違い

項目 新法適用事件(5月21日以降の提訴) 旧法適用事件(5月20日以前の提訴)
提出 電子申立てに対応。弁護士等はオンライン提出が義務 従来の紙書類中心の運用
送達・記録 要件に応じ電子送達・電子記録を利用 従来の紙の送達・記録を基本とする
費用納付 郵便費用相当額を申立手数料に組み込み、原則Pay-easyで納付 印紙と郵便切手等の従来の取扱い

※ここでいう新旧の区別は、原則として訴えを提起した日を基準とするものです。民事執行や家事事件などは別の制度・適用時期となるため、本記事では一般的な民事訴訟を対象としています。

4 訴状を受け取ったらどうする?

被告となった方には、訴状や期日の案内、答弁書に関する書類等が届きます。電子送達の対象となる場合は、裁判所のシステムを通じて確認することがあります。

まず、請求内容と答弁書の提出期限、指定された期日を確認してください。反論すべき点がある場合に放置すると、相手の主張に基づいて不利益な判決が出るおそれがあります。第1回期日には、適法に提出された答弁書の陳述擬制が認められる場合もありますが、単に出席しなくてもよいという意味ではありません。

期限や対応に不安がある場合は、早めに弁護士に相談することが大切です。

5 口頭弁論・争点整理・証拠調べ

訴えが提起されると、裁判所は当事者の主張を確認し、争点と証拠を整理します。必要に応じて弁論準備手続や証人尋問などを行います。

準備書面や証拠の提出も、電子化された手続の対象となります。また、裁判所の判断と所定の要件により、ウェブ会議による期日参加ができる場合があります。ただし、すべての期日がオンラインになるわけではありません。

6 裁判の終わり方――和解と判決

裁判の代表的な終わり方には、当事者が条件に合意する裁判上の和解と、裁判所が判断を示す判決があります。和解調書には確定判決と同一の効力が認められます。

判決が出た後に相手が任意の支払いに応じない場合、所定の要件を満たせば強制執行を検討します。また、仮執行宣言付き判決では、判決が確定する前でも執行できる場合があります。

詳しくは第5回「和解と判決による裁判の終わり方」と、第6回「判決後の流れと強制執行の手続き」をご覧ください。

7 裁判にかかる期間と費用

期間は事件の内容によって異なる

訴訟が終わるまでの期間は、争点の数、証拠の内容、証人尋問の有無、和解の進行状況などによって異なります。数か月で解決する事件もあれば、1年以上かかる事件もあります。

新法適用事件の申立手数料と郵便費用

従来の民事訴訟では、訴え提起の手数料を収入印紙で納めるほか、訴状等の送達に使う郵便切手を別途予納する運用が一般的でした。

2026年5月21日以降に提起された新法適用事件では、郵便費用相当額が申立手数料に組み込まれ、原則としてPay-easy(ペイジー)で納付します。訴えを提起する際の手数料は請求額等に応じて異なり、郵便費用相当額も、電子申立てか紙申立てか、被告の人数などによって異なります。

例えば被告1人の通常の民事訴訟では、郵便費用相当額は電子申立ての場合1,400円、紙の申立ての場合2,500円が基本となります(別途、請求額に応じた申立手数料が必要です)。被告が増える場合などには額が変わります。

納付の案内や取扱いは事件によって異なるため、実際の金額は裁判所の手数料案内で確認してください。2026年5月20日以前に提起された旧法適用事件には、従来の郵券予納等の取扱いが引き続き適用されます。

弁護士に依頼する場合の費用は別途必要です。相談料・着手金・報酬金などについては、当事務所の弁護士費用をご確認ください。

8 弁護士に相談するタイミング

民事訴訟では、請求内容の整理、証拠の準備、期限管理、和解条件の検討などが重要です。訴えを起こす前でも、訴状を受け取った後でも、早めに相談することで対応方針を検討しやすくなります。

新法適用事件では書類の提出や受領方法も変わっているため、弁護士に依頼する場合にはオンライン手続を含めた対応が可能です。

まとめ

民事訴訟は、訴えの提起から答弁書、争点整理、証拠調べを経て、和解や判決による解決を目指す手続です。2026年5月21日以降の新法適用事件では、オンライン提出・電子送達と費用納付の仕組みが変更されています。

書類が届いた場合は提出期限を確認し、個別の状況に応じて対応することが大切です。

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※この記事は2026年10月時点の一般的な民事訴訟手続を解説したものです。具体的な事件の適用法令や手続は裁判所の案内等をご確認ください。

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