【コラム】民事裁判の流れをわかりやすく解説|第3回:裁判所から訴状が届いたら
※このコラムは、民事裁判の流れシリーズの第3回です。
第1回から読む方はこちら → 第1回 裁判の始まりと全体の手続き
裁判所から訴状が届いたら、まず確認すること
ある日突然、裁判所から「訴状」や「口頭弁論期日呼出状」などが届いたら、驚く方も多いでしょう。しかし、届いた書類を放置することは避けてください。
訴えられた側(被告)にも、原告の請求を認める部分と争う部分を明確にし、自分の言い分を示す機会があります。
この記事では、訴状が届いた際に確認したい事項、答弁書の役割、欠席時の注意点を解説します。2026年5月21日から始まった民事訴訟手続のデジタル化についても説明します。
目次
- 1 訴状が届いたら裁判はどうなる?
- 2 最初に確認すべき3つのポイント
- 3 放置するとどうなる?
- 4 答弁書の書き方と提出方法
- 5 第1回口頭弁論期日に欠席する場合
- 6 電子送達・オンライン提出の注意点
- 7 請求の一部を認める場合
- 8 弁護士への相談とその後の流れ
- まとめ
1 訴状が届いたら裁判はどうなる?
訴状は、相手方(原告)がどのような判決を求め、どのような事実や理由に基づいて請求しているかを示す書面です。
裁判所から訴状の送達を受けた場合、すでに訴訟が提起されています。訴状に記載された内容がすべて正しいと確定したわけではなく、被告には反論の機会があります。
請求が身に覚えのないものであっても、届いた書類を読み、必要な対応を取ることが重要です。
2 最初に確認すべき3つのポイント
- 裁判所名・事件番号:どの裁判所で何の事件が係属しているか
- 第1回口頭弁論期日:いつ、どのような方法で期日が開かれるか
- 答弁書の提出期限:裁判所が指定した提出期限と提出方法
封筒には、訴状のほか、証拠書類の写し、期日呼出状、答弁書の案内などが入っていることがあります。
裁判所から届いた書類は封筒も含めて保管し、提出期限より十分前に準備を始めましょう。

3 放置するとどうなる?
被告が何も反論せず、口頭弁論期日にも出頭しない場合、訴状に記載された事実を争わないものとして取り扱われ、原告の請求が認められるおそれがあります。
これは、単に「裁判所に行かなくてもよい」という問題ではありません。実際には請求に理由がないと考えていても、主張や証拠を示さなければ、不利な判決につながる可能性があります。
書類の内容が不明なときも、まずは裁判所の連絡先を確認し、弁護士などへ相談してください。
4 答弁書の書き方と提出方法
答弁書は、被告が訴状に記載された請求や事実に対する認否、反論などを示す最初の書面です。
原告の請求について争うのか、請求原因として挙げられた事実を認めるのか否認するのかを、できる限り具体的に整理します。
例えば、次のような点を確認します。
- 請求されている金額・内容は正しいか
- 原告が主張する契約や取引があったか
- 支払い・返済が済んでいないか
- どの事実を認め、どの事実を争うか
- 反論を裏付ける資料があるか
十分な準備が間に合わない場合、請求を争う旨や詳細な主張を追って行う旨を先に記載することもあります。しかし、「原告の請求を争います」とだけ書けば、必ず不利な判決を避けられるというものではありません。
訴状の記載内容に対する認否が不明確なままだと問題が生じることがあり、提出期限や期日の状況によっても対応が異なります。記載方法は、できる限り専門家に確認しましょう。
5 第1回口頭弁論期日に欠席する場合
第1回口頭弁論期日には、被告が事前に答弁書を提出していれば、裁判所が答弁書を陳述したものとみなし、原告側の弁論を聴いて審理を進める場合があります。これは民事訴訟法158条の陳述擬制と呼ばれる仕組みです。
そのため、第1回期日に被告が欠席したからといって、必ず直ちに原告の請求が認められるわけではありません。
ただし、陳述擬制の取扱いは裁判所の判断によるもので、答弁書の内容や事件の状況によっては不利益を受けることもあります。また、第2回以降の期日にも同じ取扱いが当然に続くわけではありません。
欠席を考えている場合は、必ず裁判所から届いた案内を確認し、事前に相談してください。
詳しくは、第4回「第1回口頭弁論期日とは?」で解説しています。
6 電子送達・オンライン提出の注意点
2026年5月21日に施行された改正民事訴訟法により、民事訴訟のデジタル化が進み、裁判所のシステムを利用した書類の提出や送達が可能になりました。
一般の方が本人で訴訟を行う場合には、紙の書面による提出とオンライン提出の方法があり、弁護士などの訴訟代理人等には、原則としてオンラインによる手続が義務付けられています。
電子送達については、所定の届出等によりシステム送達を利用する場合、実際に書類を閲覧・ダウンロードしたときだけでなく、通知から一定期間の経過によって送達の効力が生じることがあります。「メールを見ていなかったから送達はされていない」と考えるのは危険です。
なお、新法適用事件か旧法適用事件かによって手続が異なる場合があるため、事件ごとの裁判所の案内を確認してください。
7 請求の一部を認める場合
原告の請求をすべて否定するとは限りません。「借りたことは事実だが一部は返済済み」「契約はしたが金額が異なる」など、認める事実と争う事実が混在することもあります。
このような場合は、認める部分と争う部分を分けて答弁書に記載することが重要です。認めた内容が訴訟上の自白として扱われることもあるため、安易に記載せず、資料を確認してから判断しましょう。
また、分割払いなどによる和解を希望するときも、その意向と法的な反論は区別して検討する必要があります。
8 弁護士への相談とその後の流れ
訴状が届いたら、可能な限り早い段階で弁護士への相談を検討してください。
弁護士に相談することで、請求の法的な根拠、証拠の有無、答弁書の記載内容、出頭の必要性、和解の可能性などを整理できます。
- 訴状や証拠の内容を確認し、争点を整理する
- 答弁書・準備書面などの作成や提出を依頼する
- 期日や提出期限を管理する
- 相手方との交渉や和解条件を検討する
第1回口頭弁論期日後は、必要に応じて主張・証拠の整理、証拠調べなどが行われ、和解または判決に至ります。進行は事件によって異なります。
まとめ
裁判所から訴状が届いたら、まず期日・提出期限・請求内容を確認しましょう。
答弁書の提出は重要ですが、簡単な書面を出すだけで必ず不利益を避けられるわけではありません。また、オンラインでの送達を利用する場合は、送達の効力が生じる時期にも注意が必要です。
焦って請求を認めたり、反対に放置したりせず、書類と証拠を整理して適切に対応することが大切です。
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弁護士法人ニライ総合法律事務所は、那覇市・沖縄市・うるま市に拠点を置き、債権回収、損害賠償、契約トラブルなどの民事事件に対応しています。訴状や期日呼出状が届いた場合も、必要書類をお持ちのうえご相談ください。
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民事裁判の流れ|シリーズ記事一覧
- 第1回|裁判の始まりと全体の手続き
- 第2回|相手を訴えたいときの手続きと費用
- 第3回|裁判所から訴状が届いたら(この記事)
- 第4回|第1回口頭弁論期日とは?
- 第5回|裁判の終わり方
- 第6回|判決後の流れと強制執行の手続き

