【コラム】民事裁判の流れをわかりやすく解説|第5回:裁判の終わり方
※このコラムは、民事裁判の流れシリーズの第5回です。
第1回から読む方はこちら→ 第1回 裁判の始まりと全体の手続き
― 和解と判決の違いをやさしく解説 ―
裁判が進んでいくと、裁判官から「和解で解決できませんか」と提案されることがあります。
一方で、最後まで争えば「判決」という形で結論が出ます。どちらがいいのか迷う人も多いでしょう。
ここでは民事裁判の終わり方として代表的な「和解」と「判決」について、流れ・メリット・注意点をわかりやすくまとめます。
目次
1 裁判の終わり方は大きく二通り
- 和解
当事者同士が話し合って合意する方法です。
裁判の途中で成立すると、和解調書という書面が作られます。
和解調書には、合意内容を実現する法的な力があり、相手が約束を守らない場合には強制執行も視野に入ります。
要は「話し合いで解決する」ことがポイントです。 - 判決
和解が成立しなかった場合、裁判所が結論を出します。
裁判官は提出された証拠と主張を踏まえ、法律的にどちらが正しいかを判断します。
判決文には、認められた点と認められなかった点が詳しく書かれます。
2 和解のメリットとタイミング
- 和解のメリット
早く終わらせられることが多く、全体の費用や時間を抑えやすい点があります。
自分たちで合意内容を決められる柔軟さも魅力です。
関係をこれ以上こじらせずに済むのも大きい利点です。 - 和解のタイミング
証拠の開示が進んだ段階で、裁判官が「この内容なら和解を検討してはどうか」と提案することがあります。
提案を受けたら、すぐ答えずに弁護士と相談するのが安心です。

3 判決の目安と流れ
- 判決が出る時期
最終的な主張をしてから判決が出るまでの期間は、案件によって大きく異なります。
数週間から数か月、ひどいときにはもっと長くなることも。
急いでいる場合は担当の弁護士に目安を確認しましょう。 - 判決の内容と効力
判決が言い渡されると、勝訴した側には支払いなどの履行義務が生まれます。
敗訴した側には請求が棄却されるか、支払いを命じられる場合があります。
控訴には通常決まった期間があり、期間内に不服を申し出ると審理が続きます。
4 控訴と強制執行
- 控訴
判決に不服がある場合は、決まった期間内に控訴します。
通常は判決受領後2週間程度が目安ですが、事情により変わることがあります。
不明点があればすぐに弁護士へ。 - 強制執行
相手が支払いに応じない場合、強制執行(差押え)を求める手続きに移ります。和解調書や判決が執行の根拠になります。

5 和解と判決、どちらを選ぶべきか
- 早く決着させたい・譲歩も仕方ないと思えるときは和解が向いています。
- 主張の正当性を明確にしたい、譲れない点がある場合は判決が適しています。
- どちらがよいかは、事件の性質や背景によっても変わってきます。
いずれの場合も、裁判官の提案に耳を傾けつつ、弁護士と十分に相談して判断するのが賢明です。
最も大切なのは「納得して終わること」です。
まとめ
裁判の最終段階は勝ち負けだけを決める場ではありません。和解でも判決でも、現実的にトラブルを終わらせることが目的です。
- 焦らず、冷静に判断する
- 和解内容や判決結果を理解してから決める
- 弁護士と十分に相談して進める
裁判の結論は、今後の生活や取引にも大きな影響を及ぼします。
法的な手続きの意味を理解し、自分にとって最も納得できる形での解決を目指しましょう。

