【コラム】民事裁判の流れをわかりやすく解説|第3回:裁判所から訴状が届いたら

※このコラムは、民事裁判の流れシリーズの第3回です。
第1回から読む方はこちら→ 第1回 裁判の始まりと全体の手続き

― 訴えられたときの正しい対応と注意点 ―

ある日突然、裁判所から封筒が届いたとき
ある日、裁判所から封筒が届き「訴状」や「期日呼出状」などが同封されている場合、多くの方が「どうすればいいのか」「無視しても支障ないか」と不安になります。
本記事では、訴状を受け取った際の適切な対応や注意点を、法律に基づき解説いたします。

目次

1 訴状とは―裁判開始を告げる重要な書類

訴状は、相手(原告)があなた(被告)に対して民事裁判を起こした事実を正式に知らせる書類です。
「お金の支払い」や「損害賠償の請求」など、原告の主張・請求内容が明示されています。
この書類が届いた時点で、すでに裁判手続きが開始しており、対応を先延ばしにすると不利益を被る可能性があります。

2 受領後すぐに確認すべき3つのポイント

封筒の中身を確認し、必ず以下の3点をチェックしてください。

  • 裁判所名・事件番号(どの裁判所か)
  • 期日(第1回口頭弁論期日)
  • 答弁書の提出期限

特に「答弁書の提出期限」は極めて重要です。
この期限までに対応しない場合、裁判所によっては原告の主張を前提に判決(いわゆる欠席判決)が出されることがあります。

裁判所からの封筒

3 「放置」は絶対に避けてください

民事裁判の書類提出や出廷は「任意」と誤解されがちですが、反論しないと「争いがない」=「請求を認めた」と判断される場合があります。
「請求内容が一部事実と異なる」「そもそも取引がない」など反論すべき点があっても、期日までに答弁書を提出しなければ主張が認められるリスクが高まります。
必ず何らかの対応をしましょう。

4 答弁書とは―最低限やるべき対応

答弁書は、訴状に対する反論や意見を示すための重要な書面です。
例えば、争う意思のみを簡潔に記載する形でも問題ありません。

【答弁書(記載例)】
原告の請求を争います。
理由等については後日主張します。
被告 〇〇〇〇(住所・氏名)

このような形で争う意思のみを期限内に提出すれば、少なくとも欠席判決を避けられます。
その後に弁護士へ正式に依頼し、詳細な主張や証拠を準備することも可能です。

5 弁護士への相談はできるだけ早く

訴状を受領した段階で、できるだけ早く弁護士へ相談することを強くお勧めします。

  • 答弁書・準備書面の作成を委任できる
  • 裁判の見通しや和解の妥当性・リスク等を適切に説明してもらえる
  • 相手方との交渉・和解も専門家として進めてもらえる
  • 手続上の負担が軽減し、早期相談で費用・リスクを抑えやすい

以上のような利点があります。

6 裁判の流れを知ることで安心できる

訴状・答弁書のやり取り後、「第1回口頭弁論期日」でお互いの主張確認や今後の手続が調整されます。
その後は書面のやり取りや証拠調べ・証人尋問などを経て、和解または判決となります。
流れを知っておくことで、冷静に対処しやすくなります。

7 一部を認める場合の対応

「一部は支払う意思がある」「話し合いで解決したい」という場合は、答弁書で「一部認め」「残りは争う」などと記載し、裁判官や弁護士の助言を受けて現実的な和解を目指すことができます。

まとめ

裁判所から訴状が届くと動揺するかもしれませんが、

  • 期限(答弁書提出期限)を守る
  • 無視せず必ず反論の意思を示す
  • 専門家(弁護士)に早めに相談する

この3点を徹底しましょう。
訴状はあなたの言い分を法的に述べる権利が与えられたことを意味します。
適切に対応することで、不利益を回避できる場合も多くあります。
民事裁判は公平な紛争解決の仕組みであり、専門家と共に冷静に対策を立てることが解決への第一歩です。
※本記事は一般的な解説であり、個別の事案については必ず弁護士へご相談ください。

Follow me!