会社から突然解雇され、納得いかない場合、以下のような手続をとって、解雇無効の裁判に備えます。

(1)解雇理由証明書の要求(労働基準法22条1項・120条)

  会社から解雇された従業員は会社に対し「解雇理由証明書」を出すように要求します。

  解雇の理由が文書で会社から開示されることになり、今後の解雇無効を争う第一歩となります。

すなわち、解雇には正当な理由が必要です。そこで、解雇された場合には、解雇理由証明書を要求し、速やかに、解雇理由を会社に解雇後に文書で具体的に示させることで、本件解雇が争いうるものなのか、解雇に正当な理由があるのか判断する材料とできます。

また、解雇直後に理由を開示させることで、後に裁判などで解雇理由が二転、三転することも一つの解雇に理由がない事の証明にもなります。

 

(2)就業規則の開示要求

  解雇が無効かどうかは、就業規則に要件が定められているかどうかも重要となってきます。従って、解雇理由の開示と共に就業規則の開示も求めます。なお、開示を拒まれた場合には、労働基準監督署で閲覧するという方法があります。

 

(3)解雇無効の通知・退職強要の場合の退職意思の撤回の通知

  解雇された場合には、速やかに無効の通知を送る必要があります。解雇から数カ月たってからの解雇無効の意思表示では、解雇無効を争う意思がなかったと評価されかねません。内容証明郵便などでいつの時点で解雇無効の意思を表明したか、証拠化することを勧めます。

 

(4)失業保険の仮給付の手続き

解雇された場合に、納得いかず、これを無効の裁判で争う場合には、職業安定所(ハローワーク)で、失業保険の仮給付の手続を受けることができます。

仮給付の申請については、離職票とともに、裁判所の受領印があるあっせん申立てや労働審判申立書のコピーや、解雇無効を争う内容証明の写しなどを添付して申し立てます。

失業保険の仮給付はあくまで「仮」にもらうものなので、その後に裁判などで解雇の無効が確定した場合には、返還する必要があります。

ただ、一般的には、あっせんや、労働審判や労働裁判などは、和解で終わることが多く、解雇日に退職したという形で解決金をもらうなどの処理をします。