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残業代対策1

残業代対策

残業代の問題は、会社としても頭の痛いところです。会社としては、優秀な人に沢山の賃金を支払いたい。しかし優秀な人こそ時間内にしっかり仕事を終わらせ、仕事が遅い人ほど何時までも定時をすぎても帰らずに、時間単位で割増した残業代を払うことになる。そうすると、優秀な人ほど賃金が安くなり、仕事の遅い人ほど賃金が高いという結果になりがちです。残業をしないようにして効率よく仕事をしてほしい。ほとんどの会社の経営者はそう考えているはずです。それでは、残業代を無駄に支払わないようにするにはどうすればよいのでしょうか。

1 残業禁止

残業禁止と必要な残業についての事前申請制度を採用し、運用を徹底する。

「残業(所定外労働)については、原則禁止、必要がある場合には、必ず会社の許可を必要とする」旨の運用を徹底する。申請については、「前日までに書類(簡易な方法としてはメールなどでも可)で必要時間と作業内容をメールし、会社の許可を得る事とする。」というような運用をすることをお勧めします。

 

2 固定残業代制(みなし割増賃金)の導入

(1)固定残業制(みなし割増賃金)とは

固定残業代制(みなし割増賃金)とは、毎月一定の時間外労働の対価の賃金を支払うように定める制度を言います。例えば、基本給が20万円でだいたい毎月5万円の残業を行う人に対し、基本給に予めプラスして残業代5万円を支給する制度です。

定額残業代については、明文がなく事実上裁判において認められてきたものです。これが有効となる要件として、従来は、①明確区分性(基本給等の通常の労働時間の賃金に当たる部分と明確に区分されている事)②対価要件(割増賃金の対価として支払われている事)が必要とされてきました(高知県観光事件、最二小判平6.6.13)。

ところが、テックジャパン事件(最一小判6年6月13日)において、第3の要件として③差額支払いの合意(定額残業代を超える割増賃金について差額を支払う旨の合意と、裁判によっては支払い実績)までもが必要とされる事となり、それ以降、当該補足意見に影響され③を欠く場合に定額残業性を無効とする判例が出てきました。

(2)固定残業性(みなし割増賃金)導入の注意点

①超過部分については未払い残業代となる。

固定残業制は、残業代削減のために導入される傾向にあります。しかし、実際に行った残業時間で支払われるべき残業代が、定額の残業代を超える場合には、超過部分については未払い残業代となります。

例えば先の例で、ある月の残業が実際には8万円分になった場合には、固定残業代として払われた5万円を超える3万円分は未払い残業代となります。

固定残業手当分を超えた残業が発生した場合には、超えた部分については都度支給する必要があります。

 

②金額と時間数を明示する必要がある。

割増賃金と、それ以外の賃金部分を明確に区別する必要があります。かかる設定がまずかったばかりに、割増賃金部分まで基礎賃金に含めるとされた裁判例もあります。

「職務手当を時間外割増賃金の一部と扱うことはできず、したがって、職務手当は全額これを基礎賃金とせざるを得ない」「東建ジオテック事件 東京地判平成14年3月28日」

 具体的には、固定残業手当を導入する場合、残業代部分の金額と残業時間数を明示する必要があります。

③清算の合意と、その後実際の超過部分について支払いをする必要がある。

(3)固定残業性のメリットとデメリット

上記のように、定額残業性については、その超過部分について清算が必要となることから、残業代の節約には実際には繋がりません。また、定額残業代制自体が導入の要件が厳しく、また、上記のような要件を欠くと判断され残業代の弁済の効力が認められないと、残業代を支払っていないという扱いになるだけでなく、高めに支払っていた賃金が、そのまま時間単価に跳ね返り、非常に高い残業代の支払いを命じられるリスクの高い制度です。

しかし、企業としてはマネッジメントの面からこれを導入するメリットがあります。それは、定額残業性の元では、従業員からすると残業を早めに切り上げて帰宅してもしっかり給料をもらえることから、早く仕事を片付けようという効率性の追求とモチベーションのアップが見込め、また、仕事ができない人が残業代をもらうという構成にならない事から貢献度に応じた効率的な給与の支給が実現できるるからです。

3 残業代計算の基礎となる賃金(基本給と各種手当の関係)

 残業代計算の基礎となる時間単価の計算には、各種手当も含めなければいけないのでしょうか。労働基準法37条5項には、次の手当は時間単価の計算に含めないとしています。

 ・家族手当

 ・通勤手当

 ・別居手当

 ・子女教育手当

 ・住宅手当

 ・臨時に支払われた賃金

 ・1カ月を超える期間で支払われる賃金

 従業員の労務を労うために基本給にプラスαを支給したいと考える場合には、上記の名目の手当を支給した方が、残業代を抑えることが出来ます。

4 事業場外労働の導入

  事業状態労働とは、労働者が事業場外で労働する場合であって、労働時間の算定が困難なときに、原則として所定労働時間労働したとみなす制度です(労基法38条の2)。

  • 何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間を管理する者がいる場合
  • 事業場外で業務に従事するが、無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合

などの場合には、導入できないとされおり、現場で他の労働者の出退勤を管理するような人がいる事や携帯で連絡が取れる事、事業場内での打ち合わせなどの時間が不規則に入ってくるなどの事情があると、導入は難しく、最近ではこの制度を取る企業は減る傾向にあると言われています。出張や外回りなどの営業を単独で行う従業員については、依然としてこの制度を取る必要性があると思われます。

 

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